4/6、聞く力がバグっている岸田総理は、物価高対策のため、2人のエコノミストと会談しました。
界隈から、「検討使」と揶揄されるほどの決断力の無さが言われる本国首相ですが、熟考の結果どのような経済対策が出るのか、楽しみです。
今回、会談した2人のエコノミストとは、
- 第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永浜 利広氏
- みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野 泰也氏
永浜氏については、メディアに会談で話した内容を明らかにしていますが、上野氏の情報はありません。
同じ志向のエコノミストから話を聞く意味はありませんので、おそらく、異なる経済観をお持ちの御二方なのでしょう。
そこで、この記事では、それぞれの主張・経済観がどのようなものかについて、さらっと見ていきたいと思います。
永浜 利広氏
同氏の主張は、需要不足を指摘した上で、減税セヨ。です。
会談内容について、メディアの取材に対して明らかにしており、下記の発言があったようです。
永浜氏は短期と長期の視点が必要とした上で、「短期的には補助金や給付金よりも減税の方がいい」と説明
補助金より減税、岸田首相に物価高対策提言-第一生命経済研の永浜氏
日経の記事では、
「期間限定で消費税やエネルギー関連の税金を下げるよう提言した」
首相、物価高対策の意見聴取 エコノミストと相次ぎ会談
とあります。
その他、指定感染症の見直しやGOTOキャンペーンの早期再開、原発の多方面からの議論の必要性などを訴えたようです。
総じて、需要不足(まだまだインフレにならない)なので、もっとお金を使っていきましょう、というもの。エネルギーについても合理的な考えをお持ちのようです。
マスオは同氏の一連の主張には概ね同意します。
上野 泰也氏
首相と会談した際の上野氏の主張は、ネットでは見当たらないのですが、同氏がロイターや日経ビジネスに寄せた意見を参考にします。気になる点、多数。
気になる点 その1
まずは下記URLを見てください。
この記事では、金融緩和を、「弊害・副作用が大きい政策である」とし、雇用に関しては言及なし。
気になる点 その2
「空気」とか「姿勢」という言葉選びが目に付きました。
中央銀行や金融緩和の仕組みについては理解されているようですが、経済対策については具体的な主張をお持ちというよりも、傍観の感があります。
経済活動において何かが足りなければ、需給の引き締まりを反映して、市場メカニズムに沿って価格が上昇する。すると、そこに高い収益チャンスを見出した企業が増産に動き、さらには設備投資を行って生産能力を増強する。
こうした経済のダイナミズムこそが、供給制約を解消していく主役である。このダイナミズムをFRBが信頼するのであれば、性急な利上げなどせず、じっと我慢して様子を見るのが正解になる。
上野氏のコラム(ロイター)
この書きっぷりにしても、中央銀行や政府の役割よりも、市場に任せておく(じっと我慢して様子を見る)というスタンスのようです。
(この様子見感、岸田政権が好みそうな手法ではありますが…。)
ちなみに、同コラムが出た11月末から5ヶ月経っていますが、
ドル高・円安のさらなる進行余地は限られる
上野氏のコラム(ロイター)
と書いておられましたが、円安は進行余地を逆に広げています。
為替に関しては、当たるも八卦当たらぬも八卦、ですから、当たり外れは個人的にはどうでも良いですが。
気になる点 その3
もう一つ気になる記事があります。
本記事では、年金受給者向けの5000円給付の案については、望ましくないと一蹴しつつ(ここは同調します)、「財政規律が緩む」と一言。
先の記事で金融政策は副作用・弊害があるとしておきながら、財政規律も持ち出す。
つまり、中央政府や中央銀行の取りうる経済対策である、金融政策と財政政策の両方に懸念を述べています。
「気になる点 その2」でも挙げましたが、中央政府や中央銀行が何を為すべきか、について具体的な案が無さそうであることがよく分かります。
首相との会談で何を述べられたかは分かりませんが、マスオ個人としては、同氏の主張が反対や傍観ばかりで対策に落とし込む際の具体化が難しいのではないか、と推察します。
まとめ
岸田首相が話を聞いたとされる、2人のエコノミストの経済観・対策案について、表面的かもしれませんがまとめてみました。
4月末に経済対策がまとまるとのこと。どちらの意見をどのように反映するのか、注目です。
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