円安よりもデフレを騒げ

inflation deflation 政治経済

円安で騒いでいるのは話題作りのため

最近、1ドル120円近くとなり、円安が進んでいます。

日経もこれぞとばかりに騒いでいますね。

消えぬ「円安阻止の利上げ」説 121円でも募る市場警戒 - 日本経済新聞
外国為替市場で円安が加速している。22日には6年1カ月ぶりに1ドル=121円を突破し、一段安を見込む声も多い。そんな中で、日銀が円安阻止の利上げに踏み切るのではとの警戒感から、短期金融市場では将来的な利上げを織り込む動きが続く。ただ需給面も含め円高余地は狭まりつつあり、日銀が実際に動かない限りは円安に歯止めがかからない...

円の価値が下がって大変という方もいるでしょう。他の通貨に比べて売られ過ぎていることが問題?

日銀は何をしている?世界中で中央銀行が利上げをしているのに早く!

(一般論として、通貨間の相対的な現象として、利上げをすると通貨高、利下げをすると通貨安になります)

金融緩和をすればさらに円安となり、何もできないジレンマに陥っている?

いえ、そんなことはありません。日経を始めとする新聞やメディアの記事ネタに過ぎません。

以前も同レベルの円安でしたし、同時に語られるようなインフレでもありません。むしろ、日本はまだまだデフレなのです。

円安なんかよりデフレの方が大変です。欧米のインフレは2%を大きく超えてはいますが、経済デフォルトに至るようなハイパーインフレでもないのです。

円安や経常収支の赤字で騒いで、変な世論を形成しないようにしましょう。

そのためには、今の日本の経済状況と対策を頭に入れておく必要があると思い、今回記事にしています。

まず日本はデフレ

まず、デフレとはデフレーションの略で、物価が下がり続ける状態のことを指します。

物価が継続して下落する状態のこと。一般的に、省略してデフレと言われることが多い。 
              
主な原因としては、モノやサービスの需要と供給のバランスが崩れ、需要が供給を下回ることによる物価下落が挙げられる。

野村証券HPより引用(http://www.nomura.co.jp/terms/japan/te/deflation.html

物価指数

今の日本の物価水準は、総務省統計局にて確認可能です。

予備知識として、物価には3つの種類があることを頭に入れておきましょう。

  • 総合指数
  • 生鮮食品を除く総合指数(コア指数とも呼びます)
  • 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コア-コア指数とも呼びます)

物価は様々な種類の価格を反映していますが、生鮮食品などは季節によって変動しますし、エネルギーも外部影響により変動することから、それぞれの指数が示されています。

*レタスやガソリンやジュースなどの値段は全て個別の「価格」であり、「物価」ではないことに注意しておきましょう。

データを見てみよう

2022年3月18日の総務省統計局の発表したデータが最新のものですね。

2020年を基準とした時に、昨年2021年は横ばいか、下落していることが分かるでしょう。いわば、デフレ状態から抜け出していないのです。

2022年はというと、一目瞭然。今回のロシアによるウクライナ侵攻に関連して原油が高騰していることが、物価全体を押し上げていることが分かります。

つまり、生鮮食品とエネルギーを除いた指数は2021年より悪いのです。詳細は下の図でも確認できます。

総合指数(込み込み)では、0.7ポイント上昇にはなっていますが、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコア)では、0.8ポイント下落しています。

つまり、様々な個別の価格を反映した「物価」は、季節要因やエネルギーの一時的な高騰の影響を「含めば」わずかに高くなっていますが、そういった要因を除いた物価というのは低いままです。

円安だろうが、ガソリン代が高くなろうが、今はデフレであることが分かりますね。要は景気が良くないのです。

ガソリン代高騰に対する方策は

とはいえ、エネルギー価格の上昇は我々の生活に影響を与えます。適切な対処法は何なのでしょうか。

2つあります。

  • トリガー条項の発動(凍結の解除)
  • 政府補助金

今は補助金のみですね。そしてあまり安くなっていないのが現状です。(補助金上限5円に対し、反映されたのは3円未満分)その補助金も3月末までです。

トリガー条項とは、法律に書いてあるもので、ガソリン価格が1リットルあたり160円を3ヶ月連続で超えた場合は、現在1リットルあたり53.8円あるガソリン税のうち、上乗せ分とされている25.1円分を安くしよう、というものです。

(揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止)

第八十九条 

前条の規定の適用がある場合において、平成二十二年一月以後の連続する三月における各月の揮発油の平均小売価格がいずれも一リットルにつき百六十円を超えることとなつたときは、財務大臣は、速やかに、その旨を告示するものとし、当該告示の日の属する月の翌月の初日以後に揮発油の製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税については、同条の規定の適用を停止する

租税特別措置法89条

ところが、このナイスな法律は、現在凍結されています。

東日本大震災から復興するための財源として、ガソリンが高くなっていても国民に負担してもらおうというものです。震災特例法に書いてあります。

(揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止措置の停止)

第四十四条 

租税特別措置法第八十九条の規定は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する。

東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律

つまり、ガソリン価格を25円下げるには、この震災特例法を改正する必要があるのです。

個人的には、4月以降も補助金を出して、法律改正と合わせて合計30円ほど下げて欲しいところです。

政治家が国民生活のためにどこまで頑張ってくれるのか、試されています。

税収が下がると思われる方、それはケチケチ財務省のロジックに乗っかっています。

税収が下がることが分かっていて、それが大きな影響を与えるのなら、最初からトリガー条項を作らなければ良いのです。

他の個別物価の上昇に対しては?

部分的に減税をすれば良いですね。軽減税率を適用すれば良いのです。

答えはシンプルですが、減税には猛反対するであろう財務省、財務省系の取り巻きが多い岸田内閣はできないでしょうが…。

次回はデフレそのものに対する方策について書いてみたいと思います。

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