経常収支で騒ぐでない

deficit 政治経済

2022/3/8に経常収支が赤字だとの日経の記事がありました。

1月の経常収支、1兆1887億円の赤字 民間予測は8802億円の赤字 - 日本経済新聞
財務省が8日発表した1月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆1887億円の赤字だった。QUICKがまとめた民間予測の

この記事を読んで日本は大丈夫か?と漠然と不安を感じている方、煽られています。要注意です。

赤字=良くない、というイメージは企業ならその通りですが、国に関してはこのニュースは心配ありません。

マスオは経済を専門にしているわけではありませんが、自分で調べれば分かることは多いです。

それらを元に、本記事と意見を形成していきます。

結論

①何の心配もありません

②経常収支は世界で均衡します

③滝田洋一編集委員の最後の一文だけ同意

まず経常収支とは

貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計。
金融収支に計上される取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況

財務省HP(用語の解説

つまり、国のお金の流れですね。

もう少し噛み砕いて言えば、

経常収支が黒字: 日本から外国への投資(対外投資)

経常収支が赤字: 外国からの日本への投資

とまぁ、これだけのことなのです。

今回、日経新聞は、下の図のように直近1年のデータを元に記事を書いています。

2021年1月〜2022年1月の経常収支(財務省国際収支の推移より筆者作成、単位:億円)

この1年のデータというところがミソです。

例えば、2022年2月の統計が出て、同じ経常収支赤字になったとしましょう。そこに、日経新聞が「赤字は3ヶ月連続」「赤字幅は縮小したものの…」となればどのような印象を受けるでしょうか。

「あぁ、やっぱり日本は外国からの資金(投資)が必要なんだ。情けない。」となるでしょうか?

それも杞憂です。過去のデータを見れば、このニュース自体に大きな意味はないということになります。

赤字がどうした

ここで、1996年から現在までのデータを並べてみます。

1996〜2022年1月の経常収支(財務省国際収支の推移より筆者作成、単位:億円)

こうみると、過去に経常収支がマイナス(赤字)であったのは13回。

2009年1月、2012年1月、11月・12月・2013年1月(3カ月連続)、10月・11月・12月・2014年1月(4カ月連続)、2014年6月、2020年6月、2021年12月・2022年1月(2カ月連続マイナス記録中)

過去最大は2014年1月ですね。日経の記事には、当時も今回も原油高が背景にあり輸入額が増えたとあります。

とはいえ、それがどうしたのでしょうか。

経済への影響は

2014年の消費者物価を見ると、1%を超えてこれから、というところ。

その後、経常収支は黒字になりますが、消費者物価は下がっていきます。

物価と経常収支の相関はまた取ってみたいと思います。

2014年1月の雇用環境で見ると、どんどん良くなっている時期でした。有効求人倍率も1を超え、失業率も3.7%と下がってきた状況。(その後も下がり続けます=雇用良し)

過去最大の経常収支赤字とありますが、何をもってこれが悪いというのでしょうか。

経常収支は世界で均衡します

日本の経常赤字は、国内投資に関して、海外から日本に資金が流れている状態です。

貿易でいえば、必要なものを海外から買っている(輸入が大きくなる)だけです。

サービス(旅行の分野)でいえば、海外の訪日旅行客が使うお金が、日本人が海外旅行で使うお金を上回った時に経常収支赤字になります。

海外はというと、アメリカ、イギリス、カナダなど経常赤字が続いている国はたくさんあります。でも、きちんと経済成長していますね。

つまり、経済を回すのに必要な資金を世界中で回しているので、経常収支や貿易収支といった数字に一喜一憂する必要はないのです。

メディアが伝える国に関する黒字、赤字という文字には要注意です。

編集委員の最後の一文には同意

日経記事の投稿者である滝田洋一氏のコメントが記事下部にあります。

「エネルギー価格が上がれば、経常収支が赤字に沈みます」

の部分については、説明した通り、「それがどうした」です。経常赤字と経済・雇用とは関係が見出せないからです。

一方で、最後の一文で、同氏は「原発再稼働の検討をすべき」という意見を書いています。

これはマスオ個人としては同意します。資源のない国では、エネルギーを輸入か原発のような技術で賄うしか道がないからです。

にしても、何が言いたいのかよく分からない記事でしたね。

コメント

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